ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

【仏像】平安後期ながら古風で素朴な重文阿弥陀如来・萬徳寺@小浜市


 2022年10月中旬、ぽん太とにゃん子は小浜市にある萬徳寺を訪れました。以前に2016年に訪問したことがあり、6年振り2回目となります。場所は小浜市の東、若狭彦神社のすぐ近くにあります。写真は書院ですが、茅葺きで暖かい感じですね。

 この記事では萬徳寺の仏像について感想を書きます。

名勝の庭園と重文・阿弥陀如来で有名な萬徳寺

創建は不明、駆け込み寺だったことも

 萬徳寺の創建は不明ですが、元々は極楽寺という名前で遠敷川の近くにあったことが、1265年の「若狭惣田数帳」に記載されているそうです。室町時代に正照院と改名し、天台宗から真言宗に改宗しました。戦国時代には隆盛を極め、罪人が入寺すれば罪を許されるという若狭国唯一の駆け込み寺として公に認められていたそうです。安土桃山時代に萬徳寺と改められ、江戸時代の1677年に現在の場所に移り、小浜藩酒井家の祈願所とされたそうです(萬徳寺 - Wikipedia)。

書院には江戸時代の涅槃図と藩主のヘタウマ欄間絵


 入り口で拝観料を払うと、まず建物のなかに案内され、お坊さんがいろいろと解説をして下さいます。江戸時代初期に造られた書院です。一番奥には、藩主が休むための一段高くなった床間があります。令和天皇も皇太子時代にここでご休憩なされたそうです。

 壁には、釈迦涅槃図が懸けられていました。

 欄間には、酒井家のどなたか(聞いたけど忘れてしまいました)が描いた山水画が使われていますが、はっきり言ってへたっぴです(画像→萬徳寺(まんとくじ) 若狭|今を大事に)。徳川家光画伯にはかないませんが。

紅葉の頃にまた来たい庭園


 書院の向かいには国の名勝に指定された有名な庭園があります。1677年に小浜藩主が築かせたものだそうです。天然記念物の大山モミジが隠れているようですが、ぽん太にはどれだかわかりません。紅葉の時はさぞ素晴らしいことでしょう。
 下の動画では、お坊さんが庭園の解説をしております。この庭はいろんなサイトに書かれているような「枯山水」ではなく、大日如来を中心とした曼荼羅を表現していると力説してます。

彩色の残る美しい地蔵菩薩立像

 書院に続く土蔵は位牌堂(?)として使われていて、地蔵菩薩立像が祀られておりました。1m弱の大きさですが、彩色がきれいに残っていて、美しいお地蔵様でした。

石段の上に建つ本堂


 書院からいったん外に出て、庭園の傍らの石段を登っていくと、本堂(阿弥陀堂)があります。ここも紅葉の頃は見事でしょうね〜。

木造阿弥陀如来坐像(重文)

 本堂にはぽん太お目当ての木造阿弥陀如来坐像がいらっしゃいます。

 写真撮影不可ですが、動画がアップされていたので、下に埋め込んでおきます。書院の内部も見ることができますよ。

 像高141.5cmと半丈六の大きさ。金箔や彩色されていない素地仏です。桧の一木造……だと思いますが、寄木造と書いてるサイトもあります。

 正面から見るとふっくらしたお顔で、威圧感なく穏やかな表情。素朴で、優しさや親しみを感じます。胸の肉の表現などは、様式的にデフォルメされてます。平安後期の作で、定朝様式バリバリの時代ですが、台座まで衣が垂れ下がり、衣紋が翻波式(ほんぱしき。深い襞と浅い襞が交互になっている平安初期の様式)になっているなど、全体として古風な印象があります。若狭にとても似合う仏さまですね。

その他に大日如来坐像、阿弥陀如来坐像、弘法大師坐像、不動明王立像

 阿弥陀如来さまの向かって右に大日如来、左に阿弥陀如来の坐像が祀られておりました。装飾的で美しい仏さまで、江戸時代ぐらいのものか? 須弥壇の右には真言宗ということで弘法大師坐像、左には素朴な不動明王立像がありました。

基本情報

【寺院名】延宝山(えんぽうさん) 萬徳寺 (まんとくじ) 高野山真言宗 
【住所】福井県小浜市金屋74-23
【拝観】毎日可 8:30〜17:00
【拝観料】400円
【仏像】◎重要文化財
◎木造阿弥陀如来坐像 桧 一木造 像高141.5cm 平安後期 
大日如来坐像
阿弥陀如来坐像
弘法大師坐像
不動明王立像
地蔵菩薩立像