箱根は小涌谷にある岡田美術館には、重要文化財に指定された平安中期の木造薬師如来像があり、前から一度行ってみたいと思っていたのですが、入場料が2800円とちょっとお高くて、これまで足が向きませんでした。こんかい意を決して行ってきました。
岡田和生氏の私的コレクションを展示する美術館で、日本・中国・韓国の陶磁器を中心とした膨大なの日本・東洋の美術品が展示されております。仏像は少なめですが、重要文化財のとっても親しみやすい薬師如来がいるので、訪れる価値ありです。
- 箱根・小涌谷の広大な敷地に建つ壮麗な美術館
- 果てしなく広がる展示室に膨大な陶磁器が
- 再発見された歌麿の「深川の雪」は見れませんでした
- 仏像は少なめですが、お優しい木造薬師如来坐像(重文)は必見
- 創始者の岡田和生ってどんな人?
- 基本情報
箱根・小涌谷の広大な敷地に建つ壮麗な美術館
箱根の国道一号の小涌谷にあります。80台の駐車場があり、美術館利用者は無料です。バスの場合は小涌園バス停の目の前です。箱根登山鉄道の小涌谷駅からは徒歩20分ですが、急な上り坂なのでバスの利用をお勧めします。
岡田美術館の開館は比較的新しく、2013年のことです。6000平方メートルを超える広大な敷地は、明治時代の外人向けホテル開化亭の跡地だそうですが、岡田美術館ができる直前はどうなっていたのかは、ググってみましたがよくわかりませんでした。
その広大な敷地に展示面積5000平方メートルの5階建ての真新しい美術館があり、レストラン開化亭、庭園などが付属します。
入場料は2800円といいお値段なので、各種割引券を利用しましょう。ぽん太とにゃん子はJAF会員証で200円引きで入りました。
果てしなく広がる展示室に膨大な陶磁器が
入場の際、飛行場のような荷物検査があります。スマホやカメラは持ち込めないので無料のロッカーに預けましょう。
まず1Fの展示室に入ると、広大なスペースに膨大な数の陶磁器が展示されております。とにかく広いということは聞いてましたが、老眼のぽん太にはどこが果てなのかよく見えません。
さまざまな時代・産地の陶磁器があり、一つひとつの産地でも、さらに細かく時代やデザインで分類され、細かく解説されているので、それぞれの違いが(その時は)よくわかりました(もう忘れたけど)。
全部真剣に見ていると、丸一日、いや丸二日はかかりそうだったので、2Fからはめぼしい作品だけを鑑賞。
再発見された歌麿の「深川の雪」は見れませんでした
歌麿の「深川の雪」再発見のニュースは、当時大きく取り上げられました。
美人画で有名な喜多川歌麿の「深川の雪」は、版画ではなく肉筆画(歌麿が筆で実際に描いたもの)で、かつ縦2m横3.4mの大作。しかし1948年に銀座松坂屋で開かれた「第2回浮世絵名作展覧会」に出品されたのち、長く所在不明になっておりました。それから64年後の2012年、古美術商・寺元晴一郎氏(当時の岡田美術館副館長)が深川の倉庫で発見。岡田美術館所蔵となり、修復を経て2014年4月から公開されました。行方不明のあいだどうなっていたのかは明らかになっておらず、何か美術界のドロドロを感じますね(喜多川歌麿《深川の雪》の発見 @NHK 日曜美術館 : Art & Bell by Tora)。
で、なんとこの作品が、2Fで行われている展覧会「花鳥風月 名画で見る日本の四季」に出品されたのですが、とっても残念なことに7月16日からの後期だけの展示で、ぽん太が訪れた6月中旬には見ることができませんでした。もう一回見にいく時間とお金がないがね。残念ですが次の機会を待つことにしました。その代わり前期だけ展示されていた若冲の「孔雀鳳凰図」や田村一村の「白花と赤翡翠」を見ることができました。
「深川の雪」は今年の12月18日まで展示されているので、見たい人は今がチャンスです。
仏像は少なめですが、お優しい木造薬師如来坐像(重文)は必見
4Fの土偶と埴輪の前を走り抜け、ようやく5Fの仏教美術展示室に到達。SASUKEのファイナルステージ進出のような達成感に身が包まれます。
展示室の広さは、1〜4Fに比べるとかなりこじんまりしています。岡田さん、仏教美術にはあまり興味がなかったのかもしれません。
重文の木造薬師如来坐像(平安中期)
さて、お目当ては重要文化財の木造薬師如来坐像です。お写真は下のリンクからどうぞ。
高さは約1mで、お顔は大きめ、脚は小さめ。足の部分傷みが目立ちます。全体に丸くて穏やかなお姿、薄い衣の表現、眠たそうな表情など、いわゆる定朝様の仏さまです。大きな丸顔で、目鼻口が中央に寄っていて、優美で神々しい貴族的なお姿というよりは、親しみの持てる素朴な優しさを感じます。なかなか好ましい仏さまです。一木造。元は滋賀県の潮音寺にあったそうです。
鎌倉時代の美しい四天王像
像高約40cmと小さめですが、プロポーションよく、ポーズも美しく、細かく掘り込まれた四天王さまで、彩色も残ってます。鎌倉時代の作ですが、勢いやパワーよりも、工芸品的な美しさがまさってます。
そのほか、薬師如来の両脇に1.5mほどの二天像、仁王像、小さな金銅の誕生仏などがありましたが、スマホを持ち込めずにメモがとれなかったので、もう忘れてしまいました。
創始者の岡田和生ってどんな人?
これだけのコレクションを集めた岡田和生さんって、どんな人だったんだろうかという興味が湧いてきます。岡田和生 - Wikipediaを見ると、パチスロの王手メーカー「ユニバーサルエンターテイメント」の創業者のようですね。ぽん太はパチスロはしたことないので良くわかりませんが。1942年生まれで現在79歳。1999年には日本の長者番付で1位になったとのこと。岡田美術館の開設が2013年。しかし2017年には息子たちのクーデターで突如会長職を解かれます。その後は海外まで巻き込んでの訴訟やら裁判やらで、いろいろと大変なようです。
岡田美術館の莫大なコレクションが、「あら素敵ね〜」のキレイゴトですまないところがいいですね。パッションを感じます。
基本情報
岡田美術館
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:12月31日、1月1 日、展示替期間
入館料:一般・大学生2800円、小中高生1800円
公式サイト:https://www.okada-museum.com
仏像
木造薬師如来坐像 平安時代中期 11世紀 像高105.6cm 重要文化財 写真
木造四天王立像 鎌倉時代 13世紀 像高39.9〜41.0cm 写真
木造二天像
金銅誕生仏
木造仁王像