ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

【仏像】多くないけど見応えある常設展・福井県立若狭歴史博物館@小浜市


 2022年10月中旬、ぽん太とにゃん子は福島県小浜市にある若狭歴史博物館を訪れました。お目当てはもちろん仏像なので、受付の人に怪訝そうな顔をされながらも、常設展だけのチケットを購入。

 この記事では、福井県立若狭歴史博物館の常設展で展示されている仏像(複製を除く)についてまとめてあります。

 2階の一部屋が「若狭のみほとけ」というタイトルで仏像の展示に当てられてます。そんなに広いスペースではありませんが、大きめの仏像を含めてずらりと並んでいます。これは凄いと思いましたが、大きめの仏像はレプリカが多いです。

 仏像の特別展も時に行われているようで、機会があったら来てみたいです。

 仏像展示室内は写真撮影禁止ですが、下に埋め込んだGoogleストリートビューで見ることができます。時々展示替えがあるようで、ぽん太が行った時とは少し仏像が異なるようです。

 できれば展示品のリストを配布していただくか、公式サイトにアップしていただけると、仏像ファンとしてはありがたいです。どなたか関係者がご覧になっていたらよろしくお願いします。

大日如来坐像 平安時代 11世紀中頃 小浜市飯盛黒駒


 像高170cm、丈六の大きな仏像。彫りの浅い平安後期(11世紀中頃)の作風ですが、後から色を塗られてなんか凄いことになってます。しかし「保存の悪い文化財」と捉えるのではなく、地域で生きた信仰の対象として守られてきた仏さまと考えたいです。黒駒大日堂に伝わる仏像だそうです。

【写真・参考】・黒駒区:木造大日如来坐像|若狭小浜のデジタル文化財

不動明王及び二童子立像 平安時代 12世紀後半 小浜市飯盛寺

 80cm程度の小さめの像だけど、均整がとれていて、保存もいいです。

【写真・参考】・不動明王二童子像|福井県立若狭博物館

不動明王立像 平安時代 11世紀 小浜市加茂 加茂神社所蔵

 後から色を塗られてますが、きれいに仕上がっています。ちょっとでっぷりした体型。条帛(じょうはく)と呼ばれるタスキのような布の枝分かれしたところが、普通は肩峰(腕の付け根あたり)にあるのが、二の腕にずれ落ちてます。地元の仏師の作でしょうか。
 注目すべきは、この像が2016年に発見されたばかりだということ。加茂神社の氏子がお堂のなかでたまたま発見したそうです。

【写真・参考】・加茂神社(小浜市)不動明王立像 | 若狭歴史博物館

       ・氏子が発見 平安後期の不動明王を初公開 若狭歴史博物館|北陸・信越観光ナビ

釈迦如来坐像 平安時代後期 12世紀 若狭町指定 若狭町田井 慈眼寺

 奈良や京都などの中央の仏師が彫ったと思われる気品ある仏さまです。均整がとれていてどっしりしており、見る者に迫ってくるパワーがあります。鼻から口元にかけてがちょと写実風邪なところなど、鎌倉時代への過渡期を思わせます。

【写真】・釈迦如来坐像(慈眼寺蔵)|若狭歴史博物館

阿弥陀如来立像 平安時代末〜鎌倉時代 12世紀 若狭町指定 若狭町田井 慈眼寺

 これもまた非常に美しい阿弥陀さまです。像高1m弱で、いわゆる三尺阿弥陀ですね。ちょっと傷みが目立ちますが、素晴らしさを損なうものではありません。伏し目がちで、頬が少しぷっくりしていて、子供のようにも見えます。衣紋の流れは両腿のあたりなどちょっと様式的ですね。江戸時代に作られた台座は非常に細かい細工がされており、この像が大切にされてきたことが伺えます。

 下の動画で詳細に見ることができます。元々は、三方湖の田井島(現在は陸続きになったようですが詳細不明)の大乗寺に安置されていたそうです。

阿弥陀如来坐像 平安時代 10世紀 小浜市指定 小浜市仏谷


 素晴らしい地方仏(地元の仏師が彫った仏像)です。こういうのぽん太は好きです。手先や両脚を除いて一本の木から掘られており、内刳り(重さを軽くし、割れを防ぐために内側をえぐって彫ること)も施されておりません。衣紋の彫りも素朴。肉髷(頭の一段高いところ)も盛り上がりすぎ。表情の彫りも浅いですが、どこか親しみを感じるお顔。なんかジッ様と囲炉裏を挟んで話を伺っているような気がしてきます。ちょっと光背や台座がモダンすぎるのが残念。

【写真・参考】・仏谷区:木造阿弥陀如来坐像|若狭小浜のデジテル文化財

地蔵菩薩半跏像 江戸時代 19世紀 小浜市上根来 地蔵堂

 こ、これはいかにも江戸時代の仏像ですね。左足を下に下ろしたいわゆる半跏踏下坐(はんかふみさげざ)ですが、「どう? かっこいいでしょ」とばかりにすました表情をしております。錫杖を持つ右手の形も、観客を意識してますね。

 仏像彫刻が、鎌倉時代の運慶をピークになぜ衰退していったのか、ど素人の狸のぽん太にはまったくわかりませんが、なんかその頃から日本人の心のなかから神秘的で超越した存在という観念が消えていったような気がします、知らんけど。
【写真】・上根来地蔵堂 地蔵菩薩|若狭歴史博物館

杉田玄白って、小浜藩だったんだ!!

 ついでに他の常設展示もざっと見学したのですが、『解体新書』や『ターヘル・アナトミア』が展示してあってぽん太はびっくり!! 杉田玄白中川淳庵って小浜藩の人だったんだ。何度も本で読んでたはずですが、初めて実感できました。

基本情報

【施設】福井県立若狭歴史博物館
【住所】福井県小浜市遠敷2-104
【開館時間】9:00〜17:00
【休館日】年末年始、指定日
【料金】一般:310円/高校以下・70歳以上:無料
【仏像】■小浜市指定 □若狭町指定
大日如来坐像 平安時代 11世紀中頃 小浜市飯盛黒駒
不動明王及び二童子立像 平安時代 12世紀後半 小浜市飯盛寺
不動明王立像 像高117cm 平安時代 11世紀 小浜市加茂 加茂神社所蔵
□釈迦如来坐像 平安時代後期 12世紀 若狭町田井 慈眼寺
阿弥陀如来立像 平安時代末〜鎌倉時代 12世紀 若狭町田井 慈眼寺
阿弥陀如来坐像 平安時代 10世紀 小浜市指定 小浜市仏谷
地蔵菩薩半跏像 江戸時代 19世紀 小浜市上根来 地蔵堂