ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

【仏像】安楽寺(別所温泉)の仏像 重文の恵仁和尚坐像/惟仙和尚坐像など


 上田市別所温泉にある安楽寺は国宝の八角三重塔で有名ですが、重要文化財の恵仁和尚坐像と惟仙和尚坐像があります。このブログでは安楽寺の仏像(恵仁・惟仙和尚坐像は僧の肖像彫刻なので厳密には仏像ではありませんが)を紹介いたします。

弁天堂の八臂弁財天+2躯


 駐車場から山道を登っていくと、右手に辨財天と書かれたお堂があります。いわゆる弁天堂ですかね〜。


 内部には三体の仏像が祀られております。中央は八臂(腕が八本ある)の弁財天さまですね。すらりとした立ち姿で、福々しく安らかなお顔をしております。上の方が見えないので頭上に宇賀神を頂いているかどうかわかりませんが、左手に宝珠を持っていること、安楽寺鎌倉時代以降に栄えたお寺であることなどから、いわゆる宇賀神弁財天だと思われます。

 向かって左は四天王のいずれかでしょうか、右は僧のようですが、どちらも身元がわかりません。両方とも昭和初期の玩具のような可愛らしいお姿ですね。

応供堂の十六羅漢と四国八十八ケ所札所勧請仏7躯


 なにやらバス停のような建物ですが、應供堂と書かれています。


 中には十六羅漢像と、四国八十八か所札所勧請仏七体が祀られております。

 十六羅漢像は江戸時代寛政年間の作だそうで、なんかテーマパークの人形みたいですね。

 四国八十八か所勧請仏は、安楽寺公式サイトによると、元禄6年に塩田組(上田市千曲川の左岸地区)の庄屋たちが発願し、塩田にいながら四国八十八ヶ所巡りができるようにと、八十八ヶ所札所の尊像を京都の仏師に依頼して作製して、塩田の寺堂に数体ずつ祀ったそうで、安寧寺にはこのうち七体が祀られているそうです。当目にも本格的な仏像に見えますね。塩田平札所巡りに関しては、こちらのサイト(塩田平札所めぐり)をどうぞ。

本堂の御本尊釈迦如来文殊普賢菩薩


 本堂です。ご本尊の釈迦如来が祀られてあり、両脇には文殊菩薩普賢菩薩があり、いわゆる釈迦三尊像になっております。写真は、遠いですが、こちらのリンク(安楽寺(長野県)の観光情報|ゆこゆこ温泉ガイド)をご覧ください。どういう仏さまだったか、残念ながらぽん太は記憶しておりません。また行った時によく見てみます。

経蔵の傳大師と二子像


 江戸時代の1794年に作られた経蔵(上田市指定文化財)は、京都の黄檗萬福寺から購入した一切経を納めるために作られたものです。


 内部にはお経を納めた八角形の回転式の棚(輪蔵)があります。一周廻すとすべてのお経を読んだと同じ功徳があると言われます。輪蔵を発明したのが中国の南北朝時代の在俗の仏教者・傅大士(ふだいし:497年〜569年)で、輪蔵には傅大士とその二子の像が置かれるのが恒例となっております。向かって右の子供は両手を広げてかわいいですね。なんか十六羅漢と作風が似ている気がします。同じ仏師の作?

六地蔵


 六地蔵ですが、八躯あります。一番奥の大きいのと小さいのが付け加えられたものでしょうか?

重要文化財の木造恵仁和尚坐像・木造惟仙和尚坐像


 さて、いよいよ本命です。こちらのお堂(伝芳堂)の中に重要文化財の二像が祀られております。


 こちらが木造惟仙和尚坐像です。ガラスの反射で写真が見づらいですが、安楽寺の公式サイトにきれいな写真があります(曹洞宗 安楽寺|安楽寺開山樵谷惟仙和尚像について)。惟仙(いせん)和尚は信濃出身の僧で、鎌倉時代中期に宋で学んだのち、安楽寺臨済宗の寺院として中興開山しました。像内の墨書銘から、鎌倉時代末期(1329年)に大工の兵部によって作られたことがわかっております。丸顔で優しそうでありながら凛とした雰囲気があります。写実的で見事な頂相(ちんそう)です。ちなみに頂相とは禅僧の肖像彫刻や肖像画のことで、師に対する尊敬の念が込められております。


 こちらは木造恵仁和尚坐像です。きれいな写真はこちら(曹洞宗 安楽寺|安楽寺二世幼牛恵仁和尚像について)。恵仁(えにん)和尚は、惟仙和尚に従って中国から日本にやってきた僧で、安楽寺の二代目の住職となりました。こちらはちょっと厳しそうですね。仙和尚坐像と同じ1329年に作られたもので、作者は不明ですが同一の作者であると考えられているそうです。

水子地蔵尊


 伝芳堂の隣には水子地蔵が祀られております。


 国宝の八角三重塔の第一層には大日如来が祀られているようですが、残念ながら非公開。写真はこちらです(曹洞宗 安楽寺|国宝八角三重塔)。なかなか立派な像に見えます。機会があったら拝観したいところです。

基本情報

【寺院】崇福山 安楽寺 曹洞宗 
【住所】長野県上田市別所温泉2361
【公式サイト】曹洞宗 安楽寺|トップページ
【拝観日】2022年9月下旬
【拝観】3-10月:8時-17時、 11-2月:8時-16時 、無休
   拝観料 大人300円、小中学生100円
【駐車場】無料 50台。【仏像】◎重文
◎木造恵仁和尚坐像 鎌倉時代 1329年
◎木造惟仙和尚坐像 鎌倉時代
 弁天像と二躯
 十六羅漢尊者 江戸時代 寛政年間
 四国八十八ヶ所札所勧請仏の七尊 江戸時代 元禄6年
 本尊釈迦如来文殊菩薩普賢菩薩
 傅大士と二子像