ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

ヌレエフの「くるみ割り」振付は罰ゲームですか?〈オペラ座ガラ〉-ヌレエフに捧ぐ-Bプロ

 〈オペラ座ガラ〉-ヌレエフに捧ぐ-、今回はBプロです。

 Bプロはヌレエフ振付が少なめに感じますが、なにやら「さすらう若人の歌」はヌレエフが最後の舞台で踊った演目らしく、他の演目もそれぞれヌレエフとゆかりがあるのかもしれませんが、ぽん太にはよくわかりません。プログラム買ったら書いてあったのかしら?

 このブログは、バレエ好きタヌキ爺ぽん太の勝手な感想です。

ポール・マルクの足さばき、可憐なパク・セウン「ゼンツァーノの花祭り

 Aプロでも正確で安定した踊りを見せてくれたポール・マルクが、素晴らしい足さばきを披露してくれました。またパク・セウンも先日のAプロが嘘のように、可憐で柔らかい踊りを見せてくれました。

オニール八菜、ルーヴェの華やかなパ・ド・ドゥ「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

 オニール八菜もAプロとは異なり、優雅で堂々とした踊り。Aプロの時はパク・セウンもオニール八菜も初日で緊張してたのか? それとも観ているぽん太の方が暑さのせいでおかしかったのでしょうか?

 王子様キャラのルーヴェと夢のような優雅な時間を作ってくれました。

エロチックさが足らん「さすらう若者の歌」

 マルク・モローとントワーヌ・キルシェールの「さすらう若者の歌」は、コンテンポラリーとしての動きはしっかり踊ってましたが、「心」が伝わってきませんでした。

 「さすらう若者の歌」の音楽は、はオーストラリアの作曲家グスタフ・マーラーによる同名の歌曲です。内容はマーラー自身の失恋体験が反映されていて、失恋した若者が旅の途中で時には自然の美しさに心を奪われながらも、恋する人を失った悲しみから逃れることはできず、最後は菩提樹の木の下に横たわり、白い花びらが降り注ぐ中で安らぎを得るという話です。ラストで若者が生きているのか死んでしまったのか、はっきりとは描かれていませんが、ぽん太は死んでしまった派です。さすらう若者の歌 - Wikipediaに対訳がありますので、ご覧になるとバレエの理解が増すことでしょう。

 青いコスチュームのダンサーは旅する若者その人であり、年上のエンジのコスチュームのダンサーは誰だかわかりませんが、彼に寄り添って励まし、慰め、時には糾弾し、時には恋人となります。

 やはりここには同性愛的なニュアンスがあるはずで、今回の舞台は「先生と生徒」みたいに見えてしまいました。

 ヌレエフ自身が踊った「さすらう若者の歌」(リハーサルとインタビュー、一部踊ってるところ)の動画が見つかりましたので、お裾分けでリンクしておきます。

これって罰ゲームですか?「くるみ割り人形」より第2幕のグラン・パ・ド・ドゥ

 ヌレエフ振り付けの「くるみ割り人形」。ヌレエフの振付は難しいと聞きますが、なんか修行というか、罰ゲームみたい。難しいのに見た目の効果があんまりないところが凄いです。専門用語がわからないのうまく表現できませんが、なんでここで逆回りなんかい?、シェネの途中でこんな動作を挟むの?といった感じ。途中三連符に合わせての小刻みなパも、けいれんしているみたいでした。

 ラストの決めポーズは何かなと思って観ていたら、片足立ちで「イ」の字型の男性の上に、女性が乗っかるというもの。さすがのポール・マルクも、ぷるぷる振るえてました。

跳ばないエイマン「ライモンダ」

 最後の演目は、Aプロと同じ「ライモンダ」より第3幕のグラン・パ 。主役のキャストが変わってます。

 エイマンがどのような身体パフォーマンスを見せてくれるのか楽しみにしていたのですが、あれれ、なんかジャンプが低くて体のキレがありません。4年のあいだに何があったんでしょう。またどこか故障したのでしょうか。

 でも、ルグリの後継者ともいうべき表現力に、今後も磨きをかけていってほしいです。

基本情報

オペラ座ガラ〉-ヌレエフに捧ぐ-

2023年7月30日
東京文化会館

「ゼンツァーノの花祭り
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルド・ヘルステッド パク・セウン、ポール・マルク

ナポリ」より第3幕のパ・ド・シス
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルド・ヘルステッド、ホルガー ・シモン・パウリ、ニルス・ウィルヘルム・ゲーゼ、ハンス・クリスチャン・ロンビ
ブルーエン・バティストーニ、イダ・ヴィキンコスキ、クレマンス・グロス、オーバーヌ・フィルベール、 ダニエル・ストークス、アントニオ・コンフォルティ

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ

「さすらう若者の歌」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:グスタフ・マーラー

マルク・モロー、アントワーヌ・キルシェール

「コム・オン・エスピール」
振付:ユージン・ポリャコフ
音楽:ジョン・フィールド
オニール八菜、マチアス・エイマン

くるみ割り人形」より 第2幕のグラン・パ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフマリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
ブレーエン・バティストーニ、ポール・マルク

「ライモンダ」より第3幕のグラン・パ
振付:ルドルフ・ヌレエフマリウス・プティパに基づく)
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
オニール八菜、マチアス・エイマン
ブルーエン・バティストーニ、イダ・ヴィキンコスキ、クレマンス・グロス、オーバーヌ・フィルベール、
アントワーヌ・キルシェール、ダニエル・ストークス、アクセル・イボ、アントニオ・コンフォルティ