英国ロイヤル・バレエ団がコロナ禍を経て4年ぶりに来日。あゝ、観れるだけで嬉しい限りですが、パフォーマンスも素晴らしかったです。客席に吉田都ちゃんの姿があり、英国ロイヤル関係者と久々の再会を喜んでいたのが、印象的でした。
また肉体派(?)のオシポワが素晴らしい演技力を見せてくれたのには驚きました。
このブログは、バレエを見るのが好きなだけのぽん太の個人的感想です。
感想
FOR FOUR
2006年に初演された作品ですが、こんかいが日本初演。4人の男性ダンサーが、シューベルトの弦楽四重奏「死と乙女」に乗せて、ときには競い合い、ときには一つになりながら、ダンスを繰り広げます。テクニック的にはクラシックですが、現代的で洗練された振り付け。
振付家のクリストファー・ウィールドンは有名な人のようですが、聞いたことない! エゴサーチしてみたら、以前に「不思議の国のアリス」(プロジェクターを使って演出のやつですね)や、「雨の後に」を英国ロイヤルで観てました。
プリマ
次の「プリマ」も日本初演だそうで、どんな作品かと思っていたら、女性4人による踊り。「FOR FOUR」を意識して、同時に上演するように作られた感じです。衣装はポップでしたが、とても高難度の踊りに見えました。振付はヴァレンティノ・ズケッティ。英国ロイヤルのファースト・ソリストで(https://www.roh.org.uk/people/valentino-zucchetti)、ぽん太も以前に踊ったのを観ているようです(記憶にないけど)。
田園の出来事
オシポワが自分と同じ名前のナターリヤを踊りました。上流階級の一家に若い家庭教師がやってきたことで、一家に波紋が生じます。女の盛りを過ぎた妻のナターリヤは生まれて初めて恋の炎を燃え上がらせますが、やがて悲しい別れを迎えます。ストーリー的には昼メロですが、アシュトンの振り付けによる舞台は洗練された芸術に仕上がってます。ぽん太もとうに忘れていた昔の恋心をちょっとだけ思い出し、胸が切なくなりました。
オシポワが自らの驚異的身体能力を封印して、素晴らしい演技でナターリヤの心情を表現。オシポワがこんな演技力を身につけたら鬼に金棒です。時々衣装の隙間からすごい筋肉が見えたけど。
原作はツルゲーネフの「村のひと月」とのこと。邦訳は、昭和初期に米川正夫が訳したものが、日本図書センターから1996年に復刻された『ツルゲーネフ全集10』に収録されているようですが、amazonでは取り扱いがありません。近くの図書館にあったので、気が向いたら読んでみます。
音楽はショパンの曲を編曲して使っているようですが、一つひとつがどれなのかはぽん太にはよくわかりませんでした。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" [全編]
アシュトンの切ないドラマの後は、バランシンの華麗なパフォーマンスで締めくくり。今回は”ダイヤモンド”全編の上演でした。
ヌニェスとクラークの豪華なコンビと、迫力ある群舞。英国ロイヤルのバランシンはいつ観ても素晴らしいですね。
公演情報
英国ロイヤル・バレエ団2023年日本公演
〈ロイヤル・セレブレーション〉
2023年6月24日マチネ
東京文化会館
公式サイト・https://www.nbs.or.jp/stages/2023/royalballet/
演目とキャスト
「FOR FOUR」 (日本初演)
振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: フランツ・シューベルト
衣裳デザイン: ジャン=マルク・ピュイッソン
照明デザイン: サイモン・ベニソン
ステージング: クリストファー・サンダース
アクリ瑠嘉、マシュー・ボール、ジェイムズ・ヘイ、ワディム・ムンタギロフ
四重奏:ヴァスコ・ヴァッシレフ、戸澤哲夫、臼木麻弥、長明康郎
「プリマ」(日本初演)
振付: ヴァレンティノ・ズケッティ
音楽: カミーユ・サン=サーンス
衣裳デザイン: ロクサンダ・イリンチック
照明デザイン: サイモン・ベニソン
ステージング: ヴァレンティノ・ズケッティ、ギャリー・エイヴィス
フランチェスカ・ヘイワード、金子扶生、マヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディ
ヴァイオリン: ヴァスコ・ヴァッシレフ
「田園の出来事」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フレデリック・ショパン
編曲:ジョン・ランチベリー
美術・衣裳:ジュリア・トレヴェリアン・オーマン
照明デザイン:ウィリアム・バンディ
照明デザイン:ジョン・チャールトン
ステージング:クリストファー・サンダース
ナターリヤ : ナターリヤ・オシポワ
イスラーエフ : クリストファー・サンダース
コーリャ(息子) : リアム・ボスウェル
ヴェーラ(養女) : イザベラ・ガスパリーニ
ラキーチン : ギャリー・エイヴィス
カーチャ(家政婦) : ルティシア・ディアス
マトヴェイ(従僕) : ハリソン・リー
ベリヤエフ(家庭教師) : ウィリアム・ブレイスウェル
ピアノ:ケイト・シップウェイ
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" [全編]
振付: ジョージ・バランシン
音楽: ピョートル・チャイコフスキー
衣裳デザイン: カリンスカ
装置デザイン: ジャン=マルク・ピュイッソン
照明: ジェニファー・ティプトン
ステージング: クリストファー・サンダース、サミラ・サイディ
マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク
アネット・ブヴォリ、イザベラ・ガスパリーニ、メーガン・グレース・ヒンキス、ジーナ・ストリーム=ジェンセン、
デヴィッド・ドナリー、ニコル・エドモンズ、カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズ、ほか
指揮:クーン・ケッセルズ、シャルロット・ポリティ(「田園の出来事」)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団