
あつ〜い夏! そう、世界バレエフェスティバルの季節です。世界中から集まった一流ダンサーたちの熱いパフォーマンスに、客席も大熱狂でした。
今回心配だったのは、ロシアのダンサーたちが参加できるるのかどうか。
発表されたメンバーを見てみると、早い段階からロシア以外で活躍していたマリア・コチェトコワやディアナ・ヴィシニョーワ、ダニール・シムキンはさておき、ボリショイ退団後に契約で踊っているマリーヤ・アレクサンドロワや、マリインスキーに所属しているけどロシア人ではない永久メイやキム・キミンの名前がありました。
そしてロシアのウクライナ侵攻を機に明確な意思を持ってボリショイを退団してロシアを去ったオリガ・スミルノワの名前も。彼女の決断に関するインタビュー記事は、下記のリンクをご覧ください。
おっと、ヴラディスラフ・ラントラートフはボリショイの団員ですね。どういう経緯で来れたんでしょう。NBSの力でしょうか?
ロシアバレエを憂いなく楽しめる時が、早く来るといいのですが。
こんかい舞台袖にモニターが設置され、一演目ごとに演目とダンサーが字幕で紹介される仕組みになったのですが、日本語以外に台湾語と韓国語でも表示されておりました。台湾や韓国からのツアーが企画されてたんですかね。NBSさんやりますね。
さて開幕は、シュツットガルトのマッケンジー・ブラウンとガブリエル・フィゲレドによる黒鳥のパ・ド・ドゥ。二人ともぽん太はたぶん初めて見ました。どんどん若い人が出てくるんですね。今後が楽しみです。
ついで英国ロイヤルのヤスミン・ナグディとリース・クラークによる「クオリア」。大人のねっとりした少しエロティックな踊りで、コンテンポラリーですが眠くならなかったです。
コチェトコワとシムキンのアウル・フォールズは、近未来的というかSF的というか、不思議な世界。なんか白鳥の湖っぽい動きもありました。シムキンが身体能力を発揮。
上に書いたようにボリショイを退団してオランダ国立バレエに移ったオリガ・スミルノワがヴィクター・カイシェタと、マイヨー振付のくるみ割り人形を踊りました。曲は金平糖の精の踊りですが、例によってぜんぜん違う設定のようです。なんか昔の恋人時代を思い出しているかのような、ノスタルジックで幸福感に満ちた踊りでした。カイシェタが表情豊かでいかにも好青年といった感じ。マイヨーの「くるみ割り」、一度全幕を見てみたいです。
第1部の最後は、マルシャンによるロビンズの「アン・ソル」。パリオペらしいエレガントな愛。
休憩中、2階のレストランに外国人の男性と女性が入っていきましたが、何人ものSPが周囲を見張ってました。誰なんでしょう。
第2部に入り、菅井円加とアレクサンドル・トルーシュの「ハロー」。円加ちゃんを見るのは楽しみにしてたんですが、ノイマイヤーの振付がなぜかあんまり面白く感じられませんでした。なんかバレエ的な動きの面白さがなかったです。伴奏も、チェロが木の部分を手でコツコツ叩いたりして、難解な現代音楽。ダンサーが演奏中のピアニストの身体を荒々しく揺すったりするのも、別に面白くなかったです。ちと残念でした。
英国ロイヤルのサラ・ラムとウィリアム・ブレイスウェルの「マノン」の出会いのパ・ド・ドゥは、サラ・ラムのまるで人形のような美しさに目が釘付け。金持ちの貴族との贅沢な生活に溺れるような女には全く見えず、若い男女の美しい恋の始まりでした。
「ル・パルク」はパリ・オペラ座のオニール八菜とジェルマン・ルーヴェ。オニール八菜は気品はあるけど、ちょっと色っぽさに欠けるのがぽん太には残念に思われます。
永久メイとキム・キミンによる「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」。二人ともロシア人ではないけれど、ロシアバレエの外に向かうダイナミックな踊りは、パリオペとは全然違います。キム・キミンの美しく大きなジャンプと、永久メイの柔らかな動きが素晴らしく、客席も大興奮でした。
第3部はしっとりした演目でスタート。スミルノワとパリオペのマルシャンによる「3つのグノシエンヌ」は、繊細で品があって、情感に溢れてました。
「スペードの女王」は、カーテンコールでも役に入ったままの、アレクサンドロワの女王の存在感がすごすぎて、それしか印象に残ってないです。
ぽん太の推しのリアブコが、アッツォーニと「マーキュリアル・マヌーヴァーズ」を踊りました。悪くはないけど普通で、振付がノイマイヤーじゃないせいか、リアブコの表現力が出てなかった気がします。
バレフェスも、紅白歌合戦でいうところの終盤の大御所の部に入りました。ジル・ロマンと小林十市の「空に浮かぶクジラの影」。小林十市……。むかし見たことあります。落語家の柳家小さんの息子だっけ。おじいちゃんの5代目の方が有名だけど。幻想的でちょっと可愛いタイトルも面白く、どんな踊りなんだろうかととっても期待していたんだですが、残念ながらつまらなかったです。ジル・ロマンも、棒立ちのまま手を動かすばっかりで、もう体が動かないのかと心配になりました(Bプロでしっかり踊っていて安心しました)。
第4部。大御所の部の2番目は、フェリとボッレの「アフター・ザ・レイン」。レオタード姿のフェリはちょっと痛々しさもありますが、美しいポーズと重さがないかのような感じは健在でした。巨大なボッレが、なんかフェリを壊さないようにそっとそっと丁寧に扱っているのが印象的でした。キャリアのピークを過ぎ、過去の栄光や苦難を経て、衰えを受け入れていく姿は、今の彼女にしか表現できないかもしれません。
ヴィシニョーワとゴメスの「シナトラ組曲」。紅白でいうと演歌登場といったところか。二人にぴったりのイカした大人のダンスでした。
バデネスとフォーゲルの椿姫の第1幕のパ・ド・ドゥは、安定した素晴らしさ。高級娼婦っぽさはないけれど、バデネスの明るい笑顔が素敵でした。
トリはやっぱり「ドン・キホーテ」。ヌニュスとムンタギロフが踊りました。ヌニュスちゃんカワイイだけじゃなく、バランスやフェッテも素晴らしい。ムンタギロフも安定してました。
なんか半年ぶりぐらいのバレエで、バレエの楽しさを満喫できました。Bプログラムも楽しみです。
世界バレエフェスティバル Aプログラム
― 第1部 ―
白鳥の湖より黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・チャイコフスキー
マッケンジー・ブラウン
ガブリエル・フィゲレド
クオリア
振付:ウェイン・マクレガー 音楽:スキャナー
ヤスミン・ナグディ
リース・クラーク
アウル・フォールズ
振付:セバスチャン・クロボーグ 音楽:アンナ・メレディス
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン
くるみ割り人形
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー 音楽:ピョートル・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ
ヴィクター・カイシェタ
アン・ソル
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:モーリス・ラヴェル
ドロテ・ジルベール
ユーゴ・マルシャン
― 第2部 ―
ハロー
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ジョルジュ・クルポス
菅井円加
アレクサンドル・トルーシュ
マノンより第1幕の出会いのパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
サラ・ラム
ウィリアム・ブレイスウェル
ル・パルク
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
オニール八菜
ジェルマン・ルーヴェ
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・チャイコフスキー
永久メイ
キム・キミン
― 第3部 ―
3つのグノシエンヌ
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:エリック・サティ
オリガ・スミルノワ
ユーゴ・マルシャン
スペードの女王
振付:ローラン・プティ 音楽:ピョートル・チャイコフスキー
マリーヤ・アレクサンドロワ
ヴラディスラフ・ラントラートフ
マーキュリアル・マヌーヴァーズ
振付:クリストファー・ウィールドン 音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ
空に浮かぶクジラの影
振付:ヨースト・フルーエンレイツ 音楽:レナード・コーエン、ルー・リード、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ
ジル・ロマン
小林十市
― 第4部 ―
アフター・ザ・レイン
振付:クリストファー・ウィールドン 音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ
ロベルト・ボッレ
シナトラ組曲 振付:トワイラ・サープ 音楽:フランク・シナトラ
ディアナ・ヴィシニョーワ
マルセロ・ゴメス
椿姫より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
エリサ・バデネス
フリーデマン・フォーゲル
ドン・キホーテ
振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
マリアネラ・ヌニェス
ワディム・ムンタギロフ
指揮: ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス 演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ: 菊池洋子(「アン・ソル」、「ハロー」、「ル・パルク」、「3つのグノシエンヌ」、「マーキュリアル・マヌーヴァーズ」、「椿姫」)
チェロ: ⻑明康郎(「ハロー」)