ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

3つの源泉を掛け流し・大丸温泉旅館(奥那須温泉)

 2022年10月下旬、ぽん太とにゃん子は奥那須温泉大丸温泉旅館に泊まりました。30年ぶりくらいの宿泊です。

 何といっても宿の前を流れる川がまるごと温泉になっている「川の湯」が人気。混浴ですが、男女とも湯浴み着を着る決まりになってるので、どなたも安心して入れます。それでも心配という人には、もちろん女性専用風呂もあります。

 宿泊記や、川湯をとりあげたブログはいろいろあるので、このブログでは、大丸温泉旅館の源泉を自由研究してみました。

 

風呂の全体図


 温泉の案内図です。

 図の下側がいわゆる川の湯で、左上から右下に流れて、ところどころで堰き止めて温泉にしています。30年前に来た時は、こんなに上流まで浴槽が連なってなかった気がするのですが……ぽん太の記憶も曖昧です。

 ほぼ満室状態でお客さんが多く、混浴でもありますので、温泉の写真はこんかいはありません。下記の公式サイトにすべてのお風呂の写真がありますので、ご参照ください。

三つの源泉

 大丸温泉旅館では、「桜の湯」という源泉が、「桜の湯」という浴槽に注がれていたりするので、以下、わかりやすくするため、場合によって「桜の湯源泉」、「桜の湯浴槽」という言い方をしたいと思います。

 さて、館内には、桜の湯、川の湯、奥の沢噴気泉、桜の湯・川の湯混合泉、という4種類の温泉分析書が掲示されておりました。このうち4番目の桜の湯・川の湯混合泉は、各温泉成分を比較計算してみると、名前通り桜の湯と川の湯を約1対4の割合で混合したものと思われるので、実質的には桜の湯、川の湯、奥の沢噴気泉の3種類ということになりそうです。

 どの源泉がどの浴槽に注がれているかについては、源泉と浴槽の名称、分析書が貼られている位置から、次のように推測されます。

   源泉   浴槽
   桜の湯→桜の湯、石楠花の湯
   川の湯→川の湯(あざみの湯、あじさいの湯、白樺の湯、山ゆりの湯)
   奥の沢噴気泉→奥の湯
   桜の湯・川の湯混合泉→笹の湯

 実際に入ってみると、川の湯浴槽には、途中からいろいろな温度のお湯が湧き出しているようで、桜の湯源泉や奥の沢噴気泉も川の湯浴槽に流れ込んでいるのかどうかなど、ちょっとわからないところもあります。

桜の湯:メタケイ酸がいっぱいの美肌の湯


 最初にご紹介する源泉は桜の湯です。

 大丸温泉旅館は、浴槽としては川の湯が名物ですが、源泉としては桜の湯が推し。湧出地をごらんください。御用邸付属土地内となっております。この源泉の1/3が那須御用邸に引湯されているんです。泉温は77.9度と高温。毎分189リットルも自然湧出(ポンプで汲み上げるのではなく自然に湧き出ている)しているのがすごいです。

 泉質は単純温泉。「なんか薄そ〜」と思うのは大間違い。非解離成分のメタケイ酸が1リットル中319mg含まれており、これは全国でもトップレベルの濃度です。メタケイ酸は天然の保湿成分で、新陳代謝を高める作用もあるため、美肌効果が期待されます。女性には嬉しいですね。だから女性専用風呂に注がれているのかな? ただ「メタケイ酸泉」という規定が法的にないため、分類上は「単純温泉」になってしまいます。単なる薄い湯ではありませんよ!

 また、那須の温泉といえば、肌がピリピリするような白濁した酸性硫黄泉が多いので、この柔らかい泉質は貴重といえます。

川の湯:あちこちから湧き出て川をなす

 続いて川の湯です。こちらも湧出地は御用邸付属土地内で、毎分96リットルが自然湧出。泉温は36.8度となってますが、実際に入浴してみると、こんなにぬるくはありません。

 上にリンクしたサイトに、大丸温泉旅館の館主さんのインタビューがのってるのですが、この源泉温度は最上部で測ったもので、実際は川のあちこちから湧き出ているんだそうです。

 川の湯の中をジャブジャブ進んでいくと、ところどころすごく熱いところがあるのでご注意を。

奥の沢噴気泉:硫黄泉も楽しめます

 こちらの泉質は単純硫黄温泉(硫化水素型)です。厳密な定義(例えばこちら→泉質別の解説-(9)硫黄泉 Sulfur springs【温泉検索どっとこむ】)は省略しますが、硫黄が多く含まれ、なかでも遊離硫化水素が多いタイプです。pH4.3と酸性で、酸味・苦味・渋みがあり、硫化水素の匂いがします。「いわゆる温泉」って感じでしょうか。ただ白濁はしておらず無色透明で、かすかに湯ノ花が舞います。

 奥の沢噴気泉は、宿の北側を流れる明礬沢から噴出しており、現在は新那須温泉供給株式会社(奥の沢源泉 2022年 秋 | ギャラリー | 新那須温泉供給株式会社)が供給しております。


 源泉の動画がyoutubeにアップされてました。

桜の湯・川の湯混合泉


 上で書いたように、各成分を比較すると、桜の湯と川の湯が約1対4で混ざったものと思われます。注がれている浴槽は男性用の「笹の湯」です。

相の湯と中の湯はいずこへ?

 上記の館主のインタビュー(2020年ですからつい最近ですね)では、「桜の湯」と「川の湯」に加えて、「相の湯」と「中の湯」という計4本の源泉があると書かれています。「相の湯」は宿の下から湧いているそうで、相の湯浴槽の写真もあるますが、これは現在の奥の湯浴槽です。そういえば、このブログの上の方の「お風呂の案内」の写真、「奥の湯」の「奥」の字のところは周りが白くなっていて、テープを貼って修正しているように見えます。

 なぜこの3年間の間に相の湯源泉を使わなくなり、奥の沢噴気泉を使うようになったのか、そして中の湯源泉とは? まだまだ疑問は残ります。

 相の湯は、大丸温泉旅館の入り口にある旅館ニューおおたかで使われているようです。また休暇村那須のお風呂は、相の湯・中の湯混合泉という情報もあります。これら二つのの源泉は他の施設への供給にまわし、せっかくだから硫黄泉もあるといいよね、といことで代わりに奥の湯噴気泉を使うことにしたのでしょうか?

ざっと宿のご紹介も


 ロープウェイ山麓駅まであと少し、那須温泉郷の一番奥まったところにありますが、立派な和風旅館です。


 玄関です。日本の秘湯を守る会のちょうちんが下がってますね。


 ロビーはロッジ風になってます。


 今回のお部屋はダブルベッドルームです。お部屋は畳敷の和室です。


 夕食の先付けです。創作系が入っていて、見た目も楽しいですね。栃木のお酒の飲み比べもいただき、とっても美味しゅうございました。


 朝食は地元の素材が美味しい和食でした。

 温泉も食事も素晴らしく、とってもくつろげる宿で、皆さんにもお勧めしたいと思います。

 

基本情報

那須温泉 大丸温泉旅館 
住所:栃木県那須郡那須町湯本269 
公式サイト:・http://www.omaru.co.jp
温泉:単純温泉、単純硫黄温泉
   完全源泉掛け流し(加水・加温・循環・消毒なし)
設備:シャワートイレあり、無料Wifiあり、
料金:スタンダードプラン(別館17平米ダブルベッドルーム)
   2名1室、1人20,900円