ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

【宿】精進料理に明通寺での瞑想体験・松永六感 藤屋(福井県小浜市)


 2022年10月上旬、ぽん太とにゃん子は福井県の小浜、滋賀県の琵琶湖周辺の仏像を巡る旅に出かけてきました。小浜の宿としてにゃん子が見つけてきたのがこの宿。

 でも名前が「六感」で、ホームページを見ると「五感の先を開く」とか「自分と向き合うマインドフルネス体験」などと書いてある。これはちょっと最近話題の宗教系かと心配になったのですが、全然そんなことはなく、自家栽培のハーブや野菜を使った精進料理を味わい、明通寺での瞑想体験をはじめとするアクティビティも豊富に備えた、身も心も癒してくれる素敵な宿でした。

 国宝や重要文化財に指定された寺院や仏像がたくさんある小浜で、美味しい精進料理をいただき身も心もきれいにしたい方にお薦めの宿です。

 

山に抱かれた落ち着いた和風の建物


 小浜市の南東、国宝の三重塔で有名な明通寺を通り越して少し行ったところに、「松永六感 藤屋」があります。広い敷地の中、小高い丘のようなところに和風の落ち着いた建物があります。


 玄関は裏手にあります。


 囲炉裏のあるラウンジです。建物は新そうですが、吹き抜けになっていて太い梁があり、広々として格調高い雰囲気です。


 こちらは薪ストーブが置いてあって、ちょっと山岳ロッジ風の空間です。


 ウェルカムスイーツはいきなりナチュラルです。自家農園で採れたハーブを米粉オートミールの生地に入れて焼いたハーブクッキーで、動物由来の食材も小麦粉も使っていません。

客室は全5室でプライベート感を味わえます


 客室は落ち着いた和室です。客室は全部で5室と、プライベート感があります。ぽん太とにゃん子はお安い部屋にしたので裏手の駐車場側でしたが、その先には庭園があって、美しい樹林へと繋がっていき、眺めは悪くないです。

 テレビはありませんので、俗世間から離れて五感をとぎすましましょう。


 お部屋にはハーブティーが用意されており、お湯を入れて飲むことができます。道をはさんで向かい側にある自家農園で作られたハーブです。

浴室は温泉じゃないけど広々してます


 浴場は温泉でこそありませんが、広くててゆったりと入れます。窓の外の木々も美しいです。

夕食は創作系精進料理で、ボリュームもあり


「椀物」の玉葱スープです。

 夕食はレストランでいただきます。コース料理風に、一品いっぴん作りたてで運ばれて、丁寧に料理の解説をしてくれます。

 精進料理と聞いて質素な食事を想像していたのですが、創作系のメニューで、とっても美味しいです。


 こちらがメニューです。精進料理は腹にたまらない気がしますが、けっこうボリュームがあります。最初の「前菜」と二番目の「椀物」でけっこうお腹がいっぱいになってくるので、少食の方は少し残してスタートしてもいいかもしれません。


 ぽん太のイチオシ! 「今日の畑」と名付けられたサラダです。自家菜園で採れたさまざまな野菜が少しずつ盛られています。トマトだけで三種類あり、違いを味わいながらいただきます。調理方法も生、揚げ、炊、茹とさまざま。野菜を一つひとつこんなに味わって食べたのは、生まれて初めてです。まさに五感が研ぎ澄まされていきます。


 メインの蓮根のはさみ重ねコロッケです。


 お食事は枝豆ご飯。お焦げもあって香りが素晴らしいです。


 〆は抹茶とお菓子でした。

松永六感藤屋の歴史と精進オーベルジュの誕生


 館内に古い看板が飾ってありました。上の2文字はぽん太には読めませんが、その下は「旅人宿 ふじや」と書いてあります。ここってそんな歴史ある宿だったの?

 従業員さんに聞いてみると、以前は「ふじや」という旅館だったのを、経営権を引き継いで、「松永六感 藤屋」という旅館を開業したんだそうです。松永六感藤谷を経営している会社は、他にも何軒か宿を持っていて、道の駅もこの会社の経営とのこと。

 検索してみたら、なんと「ふじや」の若女将のブログが残ってました。

 ・ふじやっ娘日記 - 楽天ブログ(2007.1.2〜2008.7.9)

 ・ようこそ!ふじやへ - 楽天ブログ(2008.7.3〜2011.2.10)

 2007.3.29の記事に、ふじやの歴史が書かれております。元々は「藤屋」という名前で、遠敷郡上中町河内で明治33年に創業した、100年以上の歴史を持つ温泉旅館だったそうです。地図で見ると、小浜から南東に約10km、鯖街道の熊川宿からさらに山間部に入ったところで、三十数軒の小さな集落だったようです。その当時の藤屋の貴重な写真もアップされています。

 1996年、河内川ダムの建設に伴って現在の松永六感の場所に移転し、「明通寺門前ふじや」の名前で営業を開始しました。2007.5.29の記事の写真を見ると、広い敷地や建物の外観は現在の松永六感とほぼ同じで、とっても立派ですね。これがダムマネーというやつでしょうか。若狭湾でとれた魚や地元の山菜・キノコを使ったお料理の写真がとっても美味しそうで、その頃泊まったみたかったです。


 松永六感藤屋の玄関の看板。これも昔の藤屋から受け継いだものでしょうか。

 営業権を引き継いで「松永六感 藤屋」が開業したのが2020年1月。「松永」は宿がある地名です。

 松永六感の運営会社は「株式会社まちづくり小浜」のようで、公式サイトはこちらです(COMPANY - 株式会社まちづくり小浜 おばま観光局)。2010年に設立され、松永六感や小浜町家ステイなどの旅館や、レストラン、道の駅若狭おばまなどを運営。株主には小浜市や若狭おばま観光協会、小浜商工会議所などが名を連ねており、観光庁のDMO(観光地域づくり法人)にも登録されており、地域と連携しながら小浜市の観光まちくづりをしている会社のようですね。ぜひこれからも頑張ってほしいものです。


 宿の向かい側に広がる「藤屋農園」。ここで100種類の野菜、120種類のハーブが少量多品目で栽培されています。

 松永六感の料理を監修したのは中東篤志氏。京都の料理人一家で生まれ、各地でその土地に根ざした料理の監修をしているそうです。

 中東篤志がこの立地の風土から着想したのは精進の世界。精進料理をベースに、隣接する明通寺と提携し、明通寺で朝食をとり、瞑想体験もできるという体験型のプランを作ったそうです(松永六感 藤屋[福井]中東篤志さん・ガーデナー板持富夫さん|婦人画報)。

国宝の明通寺で阿字観の体験


 早朝、宿から徒歩10分ほどにある明通寺に向かいます。国宝の本堂で瞑想体験ができます。

 本日の参加者はぽん太とにゃん子だけ。真言密教の瞑想法の初歩の初歩をお坊さんに指導していただきました。「阿字観」と呼ばれるもので、サンスクリット語の「阿」の字を見つめながら、数字を数えながら呼吸をしたり、「あー」と唱えながら息を吐いたり、心の中に月輪をイメージしたりと、小一時間の体験でした。

 ぽん太は以前に永平寺で3泊4日の修行体験をしたことがあるのですが、永平寺曹洞宗坐禅は心を無にして自分をなくしていく感じでしたが、阿字観はイメージを浮かべながら深く集中していくような気がしました、知らんけど。

 まだ観光客が誰もいない静寂の中、国宝の本堂で、重要文化財の仏像を前にしての瞑想体験。とっても貴重で贅沢な体験をすることができました。

明通寺客殿での朝食


 阿字観のあとは、客殿に移動して朝食をいただきます。もちろん精進料理です。


 朝食は松永六感から運ばれたものだと思いますが、お坊さんが味噌汁を温めてくれたり、お粥をよそってくれたりして、有難いのを通り越して申し訳ないくらいでした。


 こちらがメニューで、もちろん精進料理。一つひとつの素材を普段よりも深く味わうことができた気がします。

 

基本情報

【旅館名】松永六感 藤屋
【住所】福井県小浜市門前9-4
【公式サイト】・https://www.matsunagarokkan.com
【宿泊日】2022年10月上旬
【ウォシュレット】あり
【客室設備】Wifiあり、テレビなし
【宿泊料】
宿泊プラン:【秋冬旅セール】【瞑想体験付き・精進8品ディナー&朝食付き】五感の先をひらく。国宝明通寺で瞑想と朝食

2名1室、1人20,425円