岐阜善光寺を訪れた後、車ですぐ近くの美江寺(みえじ)に立ち寄りました。
岐阜市役所の真前という中心街にあり、建物が朱色というよりはピンクといった感じのファンキーなお寺ですが、奈良時代の乾漆十一面観音(国重文)という渋いお宝を蔵しております。だだし公開は年一回、4月18日のみです。
本堂を覗くと十一面観音立像が!
本堂の中を覗き込むと、奥の方に十一面観音さまが! ひっとしてこれがあの重文の!? 目を凝らしてよく見ると、なんか違うみたい。
美江寺には平安後期の木造十一面観音もあるはずですが(木造十一面観音立像 文化遺産オンライン)、比べてみると水瓶を持つ左手の人差し指の形が違います。でもお鼻の疵(きず)は同じだし……。迷惑を顧みず電話してお伺いしたところ、平安後期のもので間違いないそうです。指の形とかは修復時に変わることもありますからね。
秘仏の乾漆十一面観音立像を見たいにゃ〜
こちらがその乾漆十一面観音さま。すばらしいですね。 表情といい、ポーズといい、衣類や装飾品の表現といい、見とれるばかりです。
公開は年1回4月18日のみ。縁があったらぜひお目にかかりたいです。
木造菩薩坐像
十一面観音の向かって左には、なにやら坐像が。装飾や天衣がなくって如来っぽいですが、髻(もとどり)を結い上げ、条帛(じょうはく:タスキみたいな布)を掛けてますから菩薩さまですかね。こちら(木造菩薩坐像 文化遺産オンライン)と見比べてみると、市指定の平安後期の木造菩薩坐像に間違いなさそうです。お顔がぷっくりして優雅ですね。
地蔵菩薩
向かって右は地蔵菩薩かなぁ? よく見えません。手前のスピーカーがファンキーです。
丈六阿弥陀如来坐像
本堂の向かって左には阿弥陀堂があり、その中には丈六の堂々とした阿弥陀如来坐像があります。案内板には木食正禅作と書かれています。
木食正禅養阿(もくじきしょうぜんようあ)は、江戸時代中期の僧で、高野山で木の実や草だけを食べる木食行を修めました。京都の狸谷山不動院を創建し、真如堂の阿弥陀如来露仏を造立したほか、寄附を募ってさまざまな土木工事を行なったそうです。
ぽん太の印象では、この阿弥陀如来が木食正禅「作」というのは言い過ぎで、「造立」ぐらいの感じではないかと思います。
基本情報
【寺院】美江寺観音(みえじかんのん) (大日山観昌院美江寺) 天台宗
【拝観日】2022年5月下旬
【拝観】拝観料:無料
ご本尊の乾漆十一面観音立像(重文)は毎年4月18日のみ公開。
【関連サイト】
・美江寺観音公式サイト http://mieji.jp
【仏像】□市指定
□木造十一面観音立像 ヒノキ材 寄木造 像高180.7cm 平安後期
□木造菩薩坐像 カヤ材 割剥 像高78.3cm 平安後期
地蔵菩薩立像
阿弥陀如来坐像 丈六 江戸時代