ぽん太のよりみち精神科

たんたんたぬきの精神科医ぽん太のブログです。ココログの「ぽん太のみちくさ精神科」から引っ越してまいりました。以後お見知り置きをお願いいたします。

【宿】岡専旅館は美濃の歴史を味わえる隠れた名旅館

 「うだつの上がる町並み」として保存地区に指定されている岐阜県美濃町。そんななかにある老舗旅館、岡専旅館に泊まってきました。宿のホームページもなければ予約サイトにも登録されておらず、直接電話をして予約するしかありませんが、泊まる価値はあります!

町並み保存地区の美濃町にあります。

 「美濃町」とは岐阜県美濃市にある町並み保存地区の名称で、美濃町という「町名」は現在はありません。

 美濃町の原型は江戸初期に金森長近によって築かれました。その後尾張藩領になりましたが、美濃和紙の生産や長良川の物流の拠点として、おおいに発展しました。

 通りには江戸時代中期にまでさかのぼる歴史ある建物が立ち並び、防火壁の役目をする「うだつ」で有名です。

 岡専旅館は、そんな保存地区の一角にあります。「古い建物の旅館マニア」のなかでは知られた存在ですが、ホームページがなく、各社の予約サイトにもまったく登録されていないため、電話で予約をするしかありません。

 なんか偏屈な人が出たらやだなと思いながら電話してみましたが、とっても優しそうな奥様が電話に出て、気持ちよく予約を取ることができました。みなさんも心配せずに電話をしましょう。

歴史ある美しい建物にため息が出ます。

 言うまでもなく、立派なうだつが上がってます。

 玄関を入ると帳場らしいたたずまい。電話口に出た女将と言うか、奥さまが出迎えてくれます。

 奥へと進んでいきます。しっかり打ち水がしてあって、涼しげな暖簾がかかっています。タイルの壁もレトロな雰囲気ですね。

 暖簾をくぐると、奥が深いです。はるか彼方まで続いています。京都の町屋のように、間口が狭く奥が深い区割りになっています。

 右手が本日泊まる建物です。今日の宿泊客はぽん太とにゃん子だけ。貸切状態です。

 部屋の前の縁側部分です。

 こちらが今回泊まった部屋です。立派な床の間ですね。また古い建物なのに、構造に歪みが出てないのがすごいです。右手に写っているテレビはブラウン管で、100円入れると2時間見れるという昔懐かしいシステム。若い諸君は知らんでしょうな。懐かしがる人が多いので、あえてそのままにしているとのこと。畳はコロナ関連の助成金で新しくしたそうで、新鮮ないぐさの香りがします。

 ガラス戸で囲まれた空間は、まるで現代建築のよう。昔の日本人のデザイン感覚は素晴らしいですね。

 そして、窓の桟と風鈴が生み出す繊細な造形……。ため息が出ます。

 円形の窓から入る光を計算し尽くした光と影の演出です。

 階段の角度にご注目。非常階段ではなく、普通の階段です。

 2階の窓からは、幾重にも重なった瓦屋根が見えます。手前は当館の土蔵で、その向こうは隣家です。

 2階のお部屋は手入れがされてないようです。歴史が感じられますね。

 こちらの建物はちょっと軽い感じ。ひさしもポリカの波板になってます。そのうち銅板葺かなんかにして欲しいです。

 こちらは商人宿のように使われていた部分らしく、ちょっと造作が簡略で、痛みやくるいもやや目立ちます。

 きれいに整えられたお庭は、水盤に花を浮かべてのおもてなし。維持管理だけでも大変でしょうね。

 敷地の一番奥は、ちょっとした畑になっています。

 そのどん詰まりにはトトロの世界への入り口が……。というのは嘘で、祠がありました。

夕食は近くの居酒屋・胡麻やで

 夕食は、近くにある「胡麻や」に出かけました。徒歩数分。古い街並みの一角にあり、雰囲気ある居酒屋です。公式サイトはこちらです(→http://www.gomaya2012.com/mino.html)。

 美味しそうなおつまみや、さまざまな日本酒がそろっています。写真は稚鮎の天ぷら。量が多いですね。鮎のいい香りがします。でも、数日後の6月1日が今年の鮎の解禁日。よく考えて旅行の日程を組めばよかったです。

 夜の岡専旅館。こちらは土蔵ですね。外装はきれいに改装されています。

岡専旅館の夜景と銅製の風呂

 こちらはもう一つの蔵で、「塩蔵」です。岡専旅館は、旅館業を始める前は塩問屋だったそうです。

 お風呂は銅製です。ぺなぺなの薄板ではなく、しっかり厚みのある銅板が使われています。

美味しい朝食です。

 朝食です。この辺りはだし巻き卵の甘い派としょっぱい派の境目だと思いますが、ここは甘い派でした。お味噌汁は岐阜というと飛騨の赤出しが頭に浮かびますが、普通のお味噌汁。「飛騨」圏よりも「名古屋」圏に近いのかしら? 美味しい和食でした。

お殿様が入った浴室

 帰り際に奥様に話を聞いていたら、お殿様用の風呂場があると聞いて、見学させていただきました。ちょっと裏手になるので、案内していただく必要があります。外装はきれいに補修されています。

 こちら浴槽ですね。写真では黒く潰れてしまってますが、タガがあるでっかい桶のような構造でした。

美濃橋は重要文化財の近代吊橋

 帰りがけに近くにある美濃橋を見学。大正時代に作られたもので、現存する国内最古の近代吊橋として、国の重要文化財に指定されているそうです。

基本情報

【旅館名】岡専旅館

【住所】岐阜県美濃市魚屋町2190番地1

【公式サイト】なし

【宿泊日】2022年5月下旬

 【宿泊料】正確に覚えてませんが、1泊朝食のみ付きで11,000円台(2名1室、1人分料金)だったと思います。